譲渡担保とは、物の所有権等、物的担保の目的とされる権利を、債務者あるいは担保提供者から債権者へ移転する方法によって担保提供することです。すなわち、金銭を借りた時点で担保提供対象物の所有権をいったん債権者に移転してしまう方法です。
債務を完済したときには所有権をもとに戻してもらい、返済できないときには、担保として提供した物を確定的に債権者のものとすることになります。
不動産を譲渡担保に基づき所有権移転登記をする場合、登記原因は「譲渡担保」ではなく売買の形式をとるケースが多いようです。融資金額でその不動産を売買したことにするのですが、このような売買の形式を売り渡し担保とよんでいます。
債務を返済したときは、その不動産を買い戻す形をとりますが、通常、債務者はその買い戻しのための権利を確保しておくために、再売買の予約を原因とする所有権移転仮登記や所有権移転登記と同時に買い戻し特約の登記をしておきます。
譲渡担保は1つの物に限らず、集合物(例えば、倉庫内の部品一式)を対象として設定することも、種類・所在場所・量的範囲を指定する等一定の要件を満たすことにより可能とされています(集合物譲渡担保といいます。)。