仮処分とは、民事保全手続きの一種であり、権利行使の実効性を確保するために緊急性が認められる場合、暫定的に処分を先行させる方法です。
民事訴訟は、その訴えの提起から判決の確定までに多くの時間を要する場合が多いことから、その間に債務者の財産状態や係争物の権利関係が変化し、せっかく権利者が勝訴判決を得ても強制執行できないという場合があります。そうなると権利者は著しい損害を被ることとなるし、そもそも訴訟手続きが無意味なものとなりかねません。
そこで、訴訟提起の前に権利者として何か手を打たなければならないとき、当該権利を保全するために裁判所へ申立てを為し、仮処分という暫定的な処分を認めてもらうための手続きが用意されているのです。
仮処分の種類には、例えば、処分禁止の仮処分、建築等禁止の仮処分、抵当権実行禁止の仮処分、金員仮払いの仮処分、動産引渡しの仮処分といったものがあります。