短期賃貸借とは、賃貸借契約の存続期間が短い契約で、土地の賃貸借では5年以下、建物の賃貸借では3年以下の期間を定められたものをいいます。
平成15年の民法改正前の第395条に定められており、抵当権に劣後する賃貸借でも競売によって消滅することなくその不動産を一定期間試用し続けることができるとされていました。
しかしながら、短期賃貸借制度を悪用し、高額の立退き料を要求したり、不当な転売差益を得るといった濫用的短期賃貸借事例が後をたたなかったことから、旧民法395条は削除され、短期賃貸借は廃止されました。すなわち、抵当権の設定登記後に設定された賃借権は、長期・短期を問わず抵当権者・買受人に対抗できず、建物を明け渡さなければならなくなりました。
その一方で、賃借人を一定程度保護する必要性から、競売開始前から使用収益をしていた建物賃借人に対しては、抵当権設定登記後の賃借権でも競売による買受けのときから6か月間は、その建物を買受人に明け渡さないですむ猶予期間が与えられています(改正後民法395条)。