引渡命令(ヒキワタシメイレイ)
引渡命令とは、所有者・債務者および競売の買受人に、占有権限を対抗できない占有者に対して、その不動産から立ち退いて競売の買受人に引き渡すよう命令する制度のことです。
引渡命令を出せる相手方は一定の要件を満たす者であることが必要です。もとより買受人に対抗できる占有権限を持っている占有者に対して引渡命令は出せません。
不動産競売は、不動産所有者の意思に反して強制的に裁判所が売却をする手続きであるので、買受人が所有権を取得したとしても、もとの所有者がすぐに立ち退いてくれるとは限りません。登記上は所有権を取得しても、現実的に不動産の占有を確保し自由に使えるという保証はないのです。このような不法な占有者を立ち退かせるには、明渡し訴訟を提起する方法があります。もっとも、訴訟となれば時間と費用等、相当の負担がかかる場合があります。より早く簡便に解決する方法として、引渡命令の制度が設けられているのです。