心裡留保(シンリリュウホ)
心裡留保とは、人の意思表示の形態の一種であり、表意者が、表示と内心の意思の不一致を知りながら意思表示をすることをいいます。
例えば、民事上の契約は意思の合致(この場合の意思の合致とは、例えば、「売ります」「買います」というように当事者双方が合意するような場合をいいます。)によって成立しますが、このとき、形式的には合意ができているのに、「売ります」と言った一方に売る気が全くなかったというようなケースが心裡留保による意思表示の事例といえます。
このようなケースにおいては、合意が成立したことを期待した者を保護する必要がありますから、契約は有効に成立したものとされるのが原則です。
もっとも、心裡留保の相手方が、表意者の真意を知っていたというような場合は、保護の必要はないので、無効な契約とされます(民法93条)。
法律事務所つくばコム 弁護士 福嶋正洋