一物一権主義とは、一個の物権の客体は一個の物でなければならず、一個の物のうえには同じ内容の物権は一個しか存在しない原則のことをいいます。例えば、一つの土地のうえに所有権という物権は一つしか存在し得ず、所有権が複数あるという事態はありません。
もっとも、一つの不動産を複数人が共有するということはあります。この場合は、所有権が複数存在するというのではなく、複数人が共有持ち分権を持ち合っている状態ですので、一物一権主義に反しているものではありません。
また、所有権という物権と抵当権という物権は、同じ内容の物権ではありませんので、一つの土地のうえに所有権と抵当権が両方存在するという事態ももちろん許されます。
法律事務所つくばコム 弁護士 福嶋 正洋