未必の故意(ミヒツノコイ)
未必の故意とは、犯罪事実の認識が確定的なものではないが、内心において犯罪事実や犯罪結果の発生を不確定的に認識している心理状態のことをいいます。犯罪事実を確定的なものとして認識している場合には確定的な故意があるとして犯罪成立要件となる故意の成立を認めてよいことに争いはないといえますが、不確定的な故意(未必の故意)があるにとどまる場合であっても、その認識が犯罪行為の動機となっている以上、未必の故意にも犯罪成立要件としての故意を認めてよいということになります。
具体的には、犯罪結果の発生の可能性を認識していて、しかもその結果が発生するならばそれでも構わないという認容があるときに故意が成立し、この認容が認められないときは過失犯にとどまるということになります。