【刑事事件】法律相談(1) 刑事罰にはどのような種類がありますか。
回答
刑法等に定められる犯罪を犯した者に対しては、裁判により刑事罰が課されることとなります。
現在の法体系において、刑事罰の種類は大きく分けて「生命刑」(人の生命を奪う刑罰)、「自由刑」(受刑者の自由を剥奪する刑罰)と「財産刑」(財産的利益を剥奪する刑罰)に分けることができます。
このうち「自由刑」に属する刑事罰の種類としては、懲役、禁錮、拘留の3種類があります。
「財産刑」に属する刑事罰の種類としては、罰金、科料、没収の3種類があります。
「生命刑」に属する刑事罰の種類は、死刑のみです。
懲役刑について
監獄に拘置される方法によって課され、加えて所定の作業を課される刑罰です。
無期懲役と有期懲役があり、前者は刑期が終わることを想定していない刑であり、後者は刑期の終期が定められている刑です。
有期刑の有期とは、1か月以上20年以下(併合罪加重等があれば30年)の期間とされています。
この点、実務上は、無期懲役刑といえども絶対的に一生涯出所できないこととはされておらず、仮釈放等の制度により出所できる可能性が含まれています。
禁錮刑について
監獄に拘置される方法による点は懲役刑と同じですが、所定の作業は課されません。無期と有期がある点は懲役刑と同じです。
もっとも、禁錮刑の受刑者が望んだ場合は作業に就くことができますが(請願作業)、この場合原則として作業をやめることはできません。したがって、請願作業者は実質的には懲役刑と同じ扱いを受けるということになります。
拘留について
拘留場(監獄とは別の施設)に拘置される方法によって課される刑罰です。
懲役刑や禁錮刑ともっとも異なる点は、その刑期が短期間のみを想定している点です(1日以上30日未満)。
おもに軽犯罪法において用いられています。
罰金について
一定額の金銭を国に納めさせる刑罰です。
刑法上、罰金の額は1万円以上とされており、上限について制限はありません(刑法第15条)。
特に法人による犯罪の場合に自由刑を課すことができないため犯罪を助長しかねないこと、法人、個人ともに脱税事件のような場合には罰金額を無制限としなれば犯罪抑止にならないため、罰金刑には上限が定められていないものです。
なお、罰金を完納できない場合には、労役場に留置されることになります。
留置の期間については、例えば「罰金を完納できないときは、金5000円を1日に換算した期間労役場に留置する」などと判決が出されるので、その期間留置されることになります。
科料について
罰金との相違は、課される金額は1000円以上1万円未満という比較的低額な罰である点です。
金額以外に実質的に罰金と異なる点はありません。