【企業法務・顧問弁護士】取締役不当解任による損害賠償金4500万円の獲得に成功
取締役を解任されたことが、理由のない不当な処分であるとして、当職が代理人となり訴訟を提起しました。本件は、ご依頼者様が当事務所へ相談にこられる前に別の弁護士へ相談されており、そこでは有意な解決は見込めないといわれていたものでした。
ご依頼者様はご納得いかず当事務所へ相談に来られました。
この件には、およそ2年間の裁判期間を要しましたが、この度、当方の主張が全面的に認められ、結果的に4500万円の損害賠償金を獲得することに成功しました。
会社法339条1項は「役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。」と規定しておりますので、特段の理由がなくとも株主総会の有効な決議さえあれば、取締役を解任することができます。そこで、当方としては如何に不当解任であったとしても取締役の地位の確認を求めることは現実的ではないと判断し、損害賠償請求訴訟を提起することとしました。
会社法339条2項は「前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる」と規定しています。
この点、会社法339条の趣旨が、株主に取締役解任の自由を保障する一方、取締役の任期に対する期待を保護し両者の利益の調和を図る点にあることからして、賠償すべき損害の範囲は、取締役が解任されなければ在任中及び任期満了時に得られた利益の額であると考えられています。
本件においては定款の規定上取締役の任期は2年と定められており、当該任期までの役員報酬では4500万円もの損害賠償請求は不可能でした。
そこで、当方としては、別途存在していた委任契約の存在を足がかりとして主張を構成することとし、長い時間をかけて裁判所において議論を重ねてきました。その結果、裁判所において当方の主張が全面的に認められることとなり、定款上の任期分のみでは得られなかった多額の損害賠償金を獲得することに成功しました。本事件においては最大の結果を引き出すことができたものと考えており、ご依頼者とともに喜びを分かち合うことができたことを嬉しく思っております。
平成27年7月22日
法律事務所つくばコム 弁護士 福嶋正洋 (茨城・つくばの法律相談は法律事務所つくばコムへお気軽にどうぞ。)