つくコム通信vol.24 ~交通事故の損害賠償~
皆さんこんにちは。今回のつくコム通信は、~交通事故の損害賠償(損害の種類には何がある?)~について解説します。
はじめに
交通事故の被害を受けられた方は当然、損害を賠償してもらいたいと考えるでしょう。では、具体的に「損害」とはどのような種類のものがあるのでしょうか。
テレビや新聞などで、「裁判所は賠償金1億円を命じた」などといった記事が出ることがありますが、当然のことながら、「なんとなく1億円」などという目分量で決められるものではありません。
積極損害
1、治療関係費
怪我を治療するために必要となる費用です。
病院代、接骨院・整骨院にかかる費用、器具・薬品代などがこれに含まれます。
接骨院や整骨院における施術、鍼灸、マッサージ等の施術については、治療費として認められない場合もありますので注意が必要です。
2、付添費用
医師の指示による場合のほか、怪我の程度や被害者の年齢といった事情で必要性が認められる場合、職業付添人にかかる実費、あるいは近親者による付添看護費の賠償が認められる場合があります。
3、将来介護費
事故の後遺症によって将来に渡って介護が必要となった場合、その将来にかかる介護費用についても賠償が認められる場合があります。
4、入院雑費
入院1日につき1500円が、入院生活にかかる雑費として認められています(裁判基準の場合)。
消極損害
1、休業損害
交通事故の被害者は、入院や通院のために仕事の休業を余儀なくされる場合があります。それによって収入に影響が生じることになりますので、休業に伴う損害の賠償を求める権利があります。
2、後遺症による逸失利益
交通事故によって負った怪我が完治すればよいのですが、後遺症となって症状が残ってしまう場合があります。
後遺症を負った場合、総じて収入を得る能力に影響が出る(減収)場合がありますので、その影響の程度に応じて、将来得られるはずであったのに事故のせいで失ってしまった利益の賠償を求めることができます。(後遺症がなければ得られるはずであった収入との差額分の賠償を請求するというイメージです。)
3、死亡による逸失利益
死亡事故の場合、将来得られるはずであった収入が0になってしまうため、これについても得られるはずであった収入の賠償を求めることができます。
慰謝料
1、死亡慰謝料
死亡事故の場合の慰謝料額は2000から2800万円程度が一応の目安となります(裁判基準)。
2、傷害慰謝料
怪我の治療のために入院・通院を継続した場合、その期間等に応じて慰謝料が発生します。
3、後遺症慰謝料
後遺症を負わされたこと自体に対する慰謝料を請求することができます。
金額は後遺症の程度に応じて、重くなるほど高額になります。
物損
修理費、代車使用料、評価損、積荷損害といった物的損害の賠償を求めることができます。
まとめ
交通事故による損害項目は多岐に渡りますが、一定の損害項目から逸脱したものまで損害として賠償を受けることは困難です。
また、上記した損害項目ごとに、さらに論点がありますので、最終的に適正な賠償金額がいくらと算定されるべきかという問題はとても複雑です。
交通事故にまつわる多様な論点について、今後のつくコム通信でご紹介したいと思います。
平成29年5月8日
弁護士 福嶋正洋(茨城・つくばの法律相談は、法律事務所つくばコムへお気軽にどうぞ)