【建築瑕疵・債権回収】請負代金未収金2600万円の獲得に成功
ある医療関係施設の建築に関して、施主(A氏)が下請け業者(B社)に請負代金の一部を支払わず、そのため当該下請業者からさらに下請した業者(孫請業者C社)も支払いを受けることができなくなるという事件があり、C社の社長から相談を受けました。
建築費用の総額スケールが1億円ほどの比較的大きな受注工事であり、施主の立場からしても不義理が起こりづらいものであるのに、なぜ代金不払いというトラブルに発展したのか、この点事情をお伺いすると、完成した建物の出来に不満があり、これを建築瑕疵と主張して、完了金の支払いをしないという強行策をとられているということでした。
建築トラブルの場合、その完成物に瑕疵があるか否かは、現地を詳細に調査したり検査したりしなければ、はっきりとしたことは分かりません。
しかしながら、仮に瑕疵があることが事実だとしても、3000万円近い最終支払い金額を一方的に払わないという対応はおかしいと考え、当職が訴訟等による解決に向けて受任いたしました。
本事件においては、法律上、孫請業者(C社)は下請業者(B社)に対して代金請求権がありますが、施主(A氏)に対する請求権はありません。
もっとも、下請業者(B社)には資金力がなく、本件工事受注のためだけに設立された実態のともなわない会社である可能性もあったことから、どうしても施主(A氏)から直接支払いを受ける必要がありました。
相談者様は地元や東京の弁護士等に相談したそうですが、いずれも上記事情等から「回収不能」として受任を拒否されていたことから、まずは当職が受任することで一定の安心を得ることができたようです。
本件にかかる訴訟は当事者が3者いるという特性から3面訴訟となりました。その訴訟の中で、本件工事にかかる瑕疵の有無を一つ一つ丁寧に検討し、裁判官による現地調査も経て、大きな瑕疵がないことを立証しました。さらに訴訟内の和解交渉により(一部瑕疵ありとされてもやむを得ない箇所があった点も踏まえ)、1割程度の減額をする一方、確実に代金を回収できる施主(A氏)から直接支払いを受けるという条件を獲得することにも成功しました。
ご依頼者においては仮に勝訴判決を得ても実際に代金を受領できなければ倒産必至の状況であったため、わずか1割程度の減額をもって債権回収できたことを想定外の結果といって喜んでいただけました。
この裁判の結果を契機に、事業も順調に回復されているとのことです。
本件は約2年がかりの裁判となりましたが、時間をかけたことに見合う十分な成果があり、当職もほっと胸をなでおろした次第です。
平成28年10月7日
法律事務所つくばコム 代表弁護士 福嶋正洋(茨城・つくばの法律相談は法律事務所つくばコムまでお気軽にどうぞ)