つくコム通信vol.3(過払い金問題)
みなさんこんにちは。つくコム通信vol.3をご覧いただきありがとうございます。
本日は、「お役立ち法律コーナー」として、いわゆる過払い金請求(サラ金等に払い過ぎた利息の返還を求めること)について解説します。
解説
1 過払い金問題とは
過払い金問題とは、消費者金融業者との間で継続的な金銭消費貸借取引(キャッシング等)をしてきた方において、業者に過大な利息を払い過ぎてしまっていたことから、これをいかにして取り戻すかという問題です。この点、判例の蓄積等により、過去に遡ってこれまでに払い過ぎた利息及び遅延損害金を取り戻すことができるという法理が確立されています。
2 なぜ過払い金問題が生じたのか
かつて、「出資法」という法律が、年利29,2%(平成11年改正以前は年利40,004%とされていました)を超える過大な利息を徴収する業者等に刑事罰を定めることで利率の抑制をはかっていました。一方「貸金業法」という法律においては、刑事罰は課さないけれども年利20%を超える金利を徴収してはならない旨規定されていました。
そうすると、20%から29,2%(あるいは40,004%)の間の金利設定をしても刑事罰までは課されないということで、多くの業者が「出資法」の上限金利に近い利率を設定して貸付を行ってきたのです。いわゆる「グレーゾーン金利」とよばれる問題です(「みなし弁済」の問題などに触れると長くなるので省略します。)。
しかしながら、このような高金利により生活が破たんしてしまう方が続出するなど、社会問題となり、多くの判例法理の蓄積によって、「貸金業法」の定める利率(最大年利20%)を超える部分は払い過ぎた利息であるから業者に返還義務があるということとなりました。
このように、過払い金は過去に遡って業者から返還してもらうことができると認められたことで多くの消費者が救済されています。
3 過払い金問題の今後
過払い金問題は近い将来、終息に向かうと言われています。これには主に次の2つの理由があります。
まず、平成22年の貸金業法及び出資法の改正が挙げられます。いわゆるグレーゾーン金利の問題を撤廃するため、貸金業法及び出資法の規定する利率が改正され、一貫性のある利率に直されました。これにより、平成22年以降の借入れについては、過払い金は基本的に発生しないこととなっています(但し、違法金融業者や闇金からの借入は除く)。
実際には消費者金融各社は法律の改正を見越して平成20年頃から利率を見直しておりましたので、平成22年以前から過払い金が発生しない状態になっているケースも多くあります。
次に、時効の問題が挙げられます。すなわち、過払い金請求権といえども永久に存続できるものではなく、時効期間(10年)の経過によって消滅することとなります。
この点、いつの時点から時効期間を数えるべきかという問題がありましたが、最高裁判例は「取引終了時から時効期間が進行する」旨判示しています。
よって、取引関係が継続していれば、時効期間は進行しません。
例えば、平成16年に借金を完済して取引関係を終了させた、というような場合であっても、平成25年3月現在においては未だ時効期間(10年)は経過していませんので、すぐに行動すれば払いすぎたお金が返ってくる可能性はあるということになります。
逆に平成14年に取引が終了しているというような場合には時効によって過払い金返還請求権が消滅してしまっているかもしれません。
まとめ
貸金業法と出資法の改正によりグレーゾーン金利がなくなったこと、過払い金請求権も取引終了時点から10年の経過によって時効が成立して消滅することなどから、今後、さらに過払い金問題は減少していくこととなるでしょう。
過去に消費者金融等から借入をされていた方は、これを機会に弁護士等に相談されてみてはいかがでしょうか。
平成25年3月5日