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つくコム通信vol.14(多重債務を負ったときの対策その1)

多重債務問題の行方

一般的に多重債務者とは、いくつもの金融業者からお金を借りている方のことです。

一般に、1か月あたりの収入額のうち可処分所得(給与収入から税金と最低生活費を控除したもの)の20%を超える返済をしなければならない状況になったとき、その人は経済的に危険な状態になっているといわれています。

しかし現状は、20%どころか、全収入額を返済に回しても追いつかないという人も少なくありません。

この点、平成22年6月18日からは貸金業法の改正により、いわゆる「総量規制」(貸付可能金額を年収の一定割合に限定する規制方法)が導入され「貸付残高が年収等の3分の1を超える貸付」が禁止されることになりました。

そのため、多重債務問題は一定程度改善の方向に向かうと思われますが、油断は禁物です。

なぜなら、総量規制の対象となるのは消費者金融業者による貸付についてのみで、銀行による貸付の場合は規制の対象外という点では未だ規制が十分ではないといえるからです。

(消費者金融業者に対する総量規制が実施された頃から、銀行系のカードローン等貸付の広告が増え、貸付サービスを強化させているのはそのためだと思われます。)

「多重債務」と「総量規制」の問題については、総量規制を強化しさえすれば多重債務という社会問題が消滅するという単純なものではありません。規制が行き過ぎればかえって破綻を来たす方もいるでしょうし、ヤミ金等規制の外にいる違法業者が勢力を増す可能性が生じるなど、あらゆる面から生じ得る問題の調整が必要となってくるのです。

多重債務状態の方がまず行うべきこと

多重債務を負う状況となったときには、返済の見込みがあるときには、任意整理という方法や、あるいは特定調停、もしくは個人の民事再生という手続きをとる方法があります。

また、どうしても返済できないというときには、自己破産という方法をとります。

多重債務状態からの脱却をはかるために、いずれの方法・対策をとるべきかを検討するには、まず、現状分析をして、一体いくつの業者から、どんな条件で、いくら借りて、今までどれだけ弁済していたかを明らかにする必要があります。

この点、かつては、消費者業者の利息は高く、利息制限法の制限利率をこえていることも少なくありませんでした(但し、平成22年より改正貸金業法の完全施行により、利息制限法の制限利率を超えた貸付は原則として存在しないこととなっています。)。

制限利率を超えて支払った利息分は元本に充当されることになっていますので、実際に残っている債務額は、業者が残っていると主張する額より少ないということもあり、場合によっては残債が全くないということもあります。

したがって、取引期間が長期間に及んでいる方の場合には、まずは請求されている残金が本当に正しいものなのかどうかを確認することからはじめるべきということになります。

次に、どうしても支払いが困難な残債務が残ってしまったと言う場合には、次回以降のつくコム通信で解説する予定の任意整理や民事再生、破産手続きといった対策方法を検討することになるでしょう。

平成26年4月20日 法律事務所つくばコム 弁護士 福嶋正洋

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