つくコム通信vol.15(多重債務を負ったときの対策その2)
任意整理・特定調停
先月のつくコム通信(vol.14)では、多重債務を負った方がまず行うべきこととして、取引履歴の開示を行い内容を検討することについてお話しを致しました。
取引履歴を見直してもどうしても多額の残債務が残ってしまい、返済していくことができないという場合、考えられる一つの方法として任意整理の方法がありますので、今月は、任意整理・特定調停という手法について述べたいと思います。
任意整理とは、例えば多重債務者の代理人として弁護士が介入し、金融業者と交渉し、弁済方法につき交渉する手法です。
方法としては、1一括返済を中心とするもの、2分割弁済を中心とするものの2通りがあります。
1は、一括して払うかわりに残債のうちの遅延利害金や利息を免除してもらうように交渉をするものです。家族や親戚の協力によりまとまった金銭を借りることができるような場合には、金融業者の高い金利をとられるよりも有利なのでこの方法をとるとよいでしょう。
中には、ヤミ金業者に手を出す方もいますが、ヤミ金業者の金利、回収方法は一般のサラ金業者とは比較にならないほど悪質なものですので、何の解決にもならないばかりか、さらなる窮地に立たされることになります。このような一時しのぎの方法をとってはいけません。
また、ヤミ金とまではいえないまでの、暴利・違法な金利で貸し付けを行っている個人業者(あるいは個人そのもの)もいますので、注意が必要です。
2は、残債務を一部カットしてもらい、毎月少しずつ返済をしていくという条件(返済計画のリスケ)で交渉するものです。
債務者の収入から生活費等の必要な支出を除いたお金を各債権者に毎月割り振って弁済するという条件で和解契約を締結します。
これにより無理なく弁済できるようにするわけですが、この方法をとる場合には、債権者全員から合意を取り付けなければなりませんので、必ずしも成功するとは限りません。(弁済期間はさまざまですが、一般には3年くらいが目途とされています。)
また、これらの交渉ごとを、簡易裁判所の調停という話し合いの手続きを利用して行うこともあります(特定調停)。
なお、民事再生手続きや破産手続きによらず、任意整理の方法をとることが、多重債務問題の解決のため本当に適切かどうかということについては、慎重に判断しなければなりません。
司法書士や弁護士等からいわれるままに任意整理の方法を選択したものの、結局、債権者からは残債務の減額に応じてもらうことができず、多少の返済計画の見直し程度で終了してしまい、早晩、再び支払い不能に陥ってしまうという話もあります。
どのような対策・方法をとるかは、ケースバイケースなので、弁護士等の専門家に納得のいくまで相談するべきでしょう。
平成26年5月14日
法律事務所つくばコム 弁護士 福嶋正洋 (茨城・つくばの法律相談は法律事務所つくばコムへお気軽にどうぞ。)